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香りの名付けについて

Jun 03, 2024

NOWHERE NOWHERE のビハインドストーリー。
第二弾は、香りそれぞれに付けられた名前についてお伝えします。

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香りの表現を豊かに。

運命的な出会いをした香水。その香りを貴方はどう表現しますか?
甘い/爽やか/重い…

「どんな香り?」と聞かれたとき、言葉で表現しようとしても思い浮かばない、と困った経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
香りを表す語彙や香り専用の言葉は極端に少なく、日本語には香り・匂いを表すダイレクトな言葉は「くさい」以外に無いと言われています。
つまり、他の感覚と違って香りを表現するためには、ほかの感覚を表す言葉で代用しなければならないのです。

香りの表現にトライして、ただただ単語を並べてみたり、遠回りをしたような表現になってしまったりすることもしばしば。
好きな香りはあるけれど、いざ表現しようとするとなかなか難しいですよね。

 

香りと色の相関性

調香作業のバックグラウンドのお話になりますが、私が調香をする際、「この香りはどう表現しよう」と考えながら調香しています。
この時、言葉と情景、加えて”色”が欠かせません。
香りに込めた感情や情景を視覚的に捉えることができるツールとして、色を用いてアウトプットをすることがほとんどです。

例えば、「明るく朗らかな気持ち」を表現する香りには、色温度の高いわずかに赤みがかった黄色。
「重くのしかかってくる悲しみ」を表現したいときには、無機な鈍色。




香りの制作依頼を受けるとき香りのイメージだけではなく、その香りに託す思いや願い、頭の中に浮かぶ情景や、「例えばどんな色ですか?」とヒアリングをすることもあります。

「○○色!」とピンポイントで回答がもらえることは少なく、明るい⇔暗い、青みがかっている⇔赤みがかっている…など、チューニングしていきながら色を定めていきます。調香前の調色作業です。

その作業を経て出来上がった香りを嗅いでもらうと、目に見えないはずの色を感じてもらえることがしばしばあります。


香りと色の関係について、なんとなくイメージを掴んでいただけたでしょうか。

 

香りの名前

そこで私たちは、「#BEC」「#C84」など、英数字で香りに名前を付けました。
ハッシュタグ?暗号?のように思われるかもしれませんが、この英数字にはきちんとした”理屈”があります。

この英数字はカラーコード(*)を起用し、目に見えない香りを可視化するひとつの手段として、香りと色をリンクさせています。
*カラーコードとは…色を表現するために用いる、英数字の羅列からなる符号。本来は6桁で表記されますが、特例的に用いられる3桁で表記しています。


例として。
「#BEC」の香りは、清々しくも柔らかい青みのある緑色を乗せています。
幼少期を過ごした思い出の地に足を踏み入れた時、一瞬でよみがえる爽やかな記憶とこみ上げる懐かしさを表現した香り。
かつての記憶をキャンバスに描くとしたら、きっと最後の一筆は、この色で吹き抜ける風を表すと思います。

 


メイクをするように、ファッションを楽しむように、色彩豊かな香りで自分らしさを表現してもらいたい。
自己表現をアートとして楽しみ、私だけのツールとしてフレグランスを纏ってほしい。

そんな願いを込めて、色を乗せたNOWHERE NOWHEREの香りをお届けしています。

 

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