NOWHERE NOWHEREの香りには、それぞれに紐づくストーリーとイメージビジュアルがあります。
これらは、調香師が香りに込めた想いや経験、メッセージなどを表しています。
ぜひ情景を思い浮かべながら、香りに向き合ってみてください。
それは、あなたのための香りになるはずです。
#864 | Woods
サンダルウッドやベチバーをブレンドした
凛としたウッドの香り
ひとの気配さえもかき消されたこの場所で、
わたしはわたしの欠片を拾い集めていた。
それらを丁寧に隙間なく、嵌め込むように築き上げる。
得られたのは研ぎ澄まされた感覚と、揺るぎない自信。
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小さな頃の私は、典型的な「本の虫」でした。
朝起きれば、某こども向け番組にTVのチャンネルを変えるでもなく、自分の本棚から絵本やら子供向けに書き換えられた伝記やらを引っ張り出して、文字を追いかけ回していました。
引っ込み思案で人前に立つと一言も喋れず、同級生と比べて身体も小さくスポーツも苦手。
常に他人と比べるばかりで、とても後ろ向きな性格でした。
なかなか自信が持てず、時に陰鬱とした気持ちで過ごしていた毎日ですが、
そうした日々の中でも「いつかどこかで前を向きたい」と、
無意識のうちに、自信をもつための根拠となるように…
本の世界に没頭し、多くのことに挑戦しながら、知識や経験というピースを集めていたのかなと、大人になった今ようやく気付き、殻にこもっていた頃の自分も受け入れられるようになったと思います。
#864の香りは、そんな過去の自分を思い出しながら、創り上げました。
決して派手ではなく、泥臭く努力を重ね、自分らしさを築き上げようとしていたあの頃の自分を、
鼓舞し、励まし、支えとなれるような香りになっています。
#864に起用したベチバーという植物から得られる香りは、少し風変わりな原料で、根っこ(根茎)から採油されます。
大地の香り・土の匂い・渋い香り…などと表現されることが多く、華美な様相は全くない、華々しさの対極にある印象です。
色々な香りを束ねる土台(ベースノート)として使用することが多く、この#864の香りのストーリーテラーとして欠かせない香りだと、直感的にチョイスしました。
表舞台に立つトップノートを支えるベースノート=ベチバーの香りが、香りに深みと安定感を持たせ、どしっと構えた香りに仕上がります。
幼い頃に文字と対峙し続けていた時に不意に感じた、その物語の世界にいるかのような何にも代えがたい感覚。
この香りができあがった今、深みのある樹々や大地の香りを傍らに、
久しく遠のいてしまっていた本の世界に潜り込み、長い長い夜の時間を楽しんでみたいと思います。
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